七草粥は,遅く起きたので作る気にならなかった.
近所のスーパーに惣菜を買いに行く道すがら,やる気を考えていた.外ではなく家に帰ると途端に元気が失せてしまうことがよくある.
家という神聖な場所*1では自分と世の中とが切り離される. 何をするかは自分の勝手なのに,誰かに糾弾されているようで気が塞ぐ.
人はそれぞれ違うという当たり前のことを,ネットはもっと露骨にした. 他人も仲間だよねという切なくも淡い信仰が死んだ*2.
ありとあらゆる真偽の定かでない情報がネットから放射される. みんな反射的になっていて,よく考えずに反応するので摩擦と衝突は増えるし,何をしても誰かから非難されたり嘲笑されたりする. 僕は制御棒のないネットに疲れてきている.よほど我が強くなければ価値観の核反応に耐えられない.
安心できれば,真実の代わりになる*3.真実クラブではなく,仲良しクラブに入りたいのだ.人は好き勝手書くようになる.信じたがるのだ.そしてそれを自ら確かめるようにネットに発信し,情報過多に弾みが付く.
その中で,人がどうなって,どう過ごし,どう生きていくのか,誰もアテにならない.ネットが人を疎外するという,重い皮肉だ. では何を依代にする?社会に承認されるという安心ではなく,自分でそれに納得する安心が欲しい.
価値観と社会とを希求し,見付け,自分のものにする必要がでてくるのだ.それはネットには落ちていない.それは信仰だったり,愛国主義だったりするかもしれない. 世の中はまた一段と難しくなった.
あなたはどうやって価値観を維持していますか.
参考文献

- 作者: ウィリアムパワーズ
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