Lambdaカクテル

京都在住Webエンジニアの日記です

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人工生命シミュレータを作った人の動画がすごいので紹介したい

Praparatという人工生命シムを作った人がいて、その動作の様子をVOICEVOXで解説動画にしてアップしていた。

www.nicovideo.jp

自分はこの動画をたまたまニコニコ上の紹介的な動線から知った。つまりサジェストで発見したという感じ。ニコニコのサジェスト作ってる人ありがとう。

動画を作成したのは @alife_praparat さん。今のところ3つ動画がアップされているので、絶対見てほしい。

twitter.com

ここからは、ひたすらこのシムの何がいいかを話すパート。

エネルギー伝達が組込まれているのが良い

人工生命シミュレータ的なものはこれまでも沢山作られてきたけれど、今まで見たシムの中でもっとも生命らしい挙動をしているのがこの人のシムだと思っている。というのも、実際にこのシムで動作している生命は、自分がこれまであまり見たことがない*1要素を複合的に採用することでいかにも「それっぽい」生命の振舞いを再現しているためだ。

まず外部エネルギー源(今のところ太陽が想定されている)が存在するというのが面白い。基本的に生命はエネルギーを内部に蓄えることができ、これに加えて太陽光を変換して自分のエネルギーとする光合成を模したメカニズムが用意されている。 エネルギーは細胞につながっている他の細胞に分配してあげることもできる。一種の血管のような感じだ。 そのような環境下で細胞は組込みの遺伝子に突き動かされて細胞分裂したり、細胞とつながったり、逆につながりを切断したりする。また、細胞分裂などの行為にはエネルギーの消費が発生するようになっており、無秩序な増殖は不可能である。

ニューラルネットワークが組込まれているのが良い

さらに面白いのは、細胞にはニューラルネットワークが設定されており、周りの光や自分と接続している他の細胞といった要素をもとにエネルギーの使途などを変更するメカニズムが存在する点。これにより、例えばエネルギー効率(日当たり)の悪い場所では、その場での繁殖を諦めて積極的に他の細胞にエネルギーを転送するといった振舞いを発生させられるようになっている。

遺伝子が組込まれているのが良い

この動画では「しおり」と「本」というメタファで説明されているが、要するに遺伝子機構が細胞には備わっている。チューリングマシンに近い形態の機構が遺伝子上を走査していき、時として細胞分裂などの動作を、時として「しおり」のジャンプが起動するようになっている。時折突然変異が発生し、わずかに振舞いを変化させていく。

これらの3つの機構をうまく組合わせたことで、人間が予想もつかなかった形で「生物」が「環境」に適合する形を見ることができている。詳しくは動画を見てほしいが、本当に粘菌のような形態で効率的に子孫を増やすように適応していくのがわかる。一見奇妙な挙動をしていたりするけれど、長期的に見ると実は生存のために適切な振舞いだった、ということが後から分かったりして面白い。

Arxivに論文がポストされたのが良い

なんとArxivに論文をポストしたらしい。

arxiv.org

興奮して印刷しようとセブンイレブンに行ったのだが、現金を忘れてしまったので悲しかった。だからこれは明日読むことにする。

ちゃんと作られていてちゃんと動くというのが面白いし、これを動画にしてくれたのもありがたすぎる。

解説メインなのが良い

最近の解説動画は茶番メインになりがちで間延びする印象があったけど、この人の動画は自分で作ったものを自分で解説している自給自足マックスな人なので、どこまでも詳しく解説してくれて良い。こうなりたい。

余談

こういうアカデミックでなおかつ面白い動画が増えてほしすぎる。芸能人のゴシップとか政治みたいな話題より、こっちを無限に見ていたい。

ところで宣伝なのだけれど、zmmという解説動画を作るためのツールを開発している。XMLを書くと、ずんだもんやあーしたちが読んでくれる。解説動画にするネタはあるんだけど動画を作る作業はそんなに・・・というオタクが、テキストベースの手軽な作業で動画を作成できるというところをゴールに見据えて、ちまちま個人で開発している。

www.nicovideo.jp

出典を出す機能といったオタク好みの機能に注力して、小回りの良いツールにしていきたいと考えている。

github.com

*1:ちゃんと調べたわけではないので違っていたらごめんなさい

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