Lambdaカクテル

京都在住Webエンジニアの日記です

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伝染性のミームは一種のウイルスやガンだと言えそう

ニコニコ動画が好きでよく見ているのだけれど、ちょっとでも荒れがちな要素が動画に出現すると一瞬で動画が荒れてしまい、政治コピペみたいなので動画が埋まってしまうことがある。韓国っぽい要素が出てくるとずっとクドクド悪口を言い続けるコメントが投稿され続けることになる。そういうのが始まるとなんでもいつもと同じ論調みたいになってしまうのでつまらないし、動画のほうもそれに適応して政治的な動画ばかりが増えていったりする。

こういう政治的な要素を含むコピペみたいな概念は、なんかウイルスみたいな感じがあるな、と思った。というのも、自力では増殖せずに人気のコンテンツに便乗して党勢を広げようとするという点がウイルスっぽいし、ただ増殖することが自己目的みたいなところがあり、コメントで論争をしようとするという感じではなく、ただ増えて勝てば良いみたいな明快さがあるのもウイルスっぽい。こういうコピペみたいに広まる概念を ミーム と雑に呼ぶとして、政治的ミームとウイルスやガンとの共通性を探ってみると面白い。

まず、感染しうる要素があったら感染する、というふるまいをするのが面白いと思う。例えば政治っぽい要素を見せるとそこに感染して、増えようとする。他にも、既に感染しているミームとの共通項を示しただけで感染が発生したりする。インフルエンザは上気道にしか基本的に感染しない(自分は専門家ではないのでよくわからないけど)のと似ていて面白いと思う。

さっきも書いたけど、ただ増えるのが目的というのも面白いと思う。コピペする人には、増やして勢力を伸ばしたい以外の意図はおそらくなくて、ただ増えることを望んでいる状態。ウイルスも思考とかをせずに、増えることだけを目指している。

たまに突然変異が起こるのも似ていると思う。コピペはちょっとずつ改変されて遊ばれることがあるけれど、改変されて面白かったり反応が大きかったコピペはその変異した形式で増殖していき、ついに世代が更新されたりする。ウイルスも突然変異して進化しながら増殖していく。より増殖に適した形式に進化を続けるのが面白いと思う。他にも、あまりにパンチがあるのでずっと改変されずに通用するミームとかもあって、それは生存力が強いのだと思う。いつまでそのネタ使ってるんだよ、と思うこともあるけれど、ミームとして強ければ影響力を発揮するのですごい。逆に、過激すぎて即BANされたり動画が消されたりするようなミームは、淘汰されてしまうというのも面白い。例えば個人情報を書き込むようなミームは増殖できない。ギリギリ増殖できるラインでミームは増殖する。

次に、コンテンツが荒れるのが嫌、ということであれば、ウイルス対策のメタファーで対応できないか、ということを考えた。コロナ対策で家に帰ったら手を洗ってウガイをするけれど、例えば動画に感染しやすい要素を入れるのはやめましょう、みたいな対策をする必要があるかもしれない。でもこれは自衛で、意図的に書き込みに来る人を防ぐことはできなそう。

生き物にはウイルスや病原菌やガンに対抗するために、体内に入った異物や、異常に増殖を続けている細胞を殺す仕組みがあって、免疫と呼ばれているけれど、コンテンツを保有するプラットフォームにもなんらかの自動的な免疫を持たせることで、有害なミームの流行を抑えられるかもしれない。急に同じような文言が増殖している場合はそれを敢えて抑えるといった抵抗ができそう。でも我々はバズった情報が好きだから、プラットフォーマーはむしろ増殖した情報を人々に示して増殖を加速させる立場になりがちだと思う。そういうことをやっていると、宿主としてのプラットフォーマーはミームに圧倒されて機能不全になるかもしれない。また、免疫システム自体を破壊すれば免疫は成立しなくなる。

最初のほうにも書いたけど、ミームに対してコンテンツのほうが適応してしまうことがある。動画に対してヘイトっぽい書き込みが続けられた結果、これに適応したヘイトっぽい動画が出現して、互いに増殖させながら共存しようとするみたいなところがあるのが面白い。

ウイルスやガンにはある程度抗生物質や薬があって、なんらかの作用機序で増殖を断ち切ってしまうけれど、ミームに対してそういうことができるだろうか。例えば特定の単語を禁止するみたいなことをすると、あっというまにミームは進化してしまうと思う。単純に削除すると、勝手に増殖するのも面白いと思う。

現代は情報が血液としてどんどん流れるミームの時代なので、こういう概念を真面目に研究したほうが良いかもしれない。

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