Lambdaカクテル

集団への盲従を激しく嫌う

年月

今日ようやく引っ越しで後にした旧宅を完全に引き払った。 旧宅には色々な思い出が詰まっている。 時々叫ぶ隣人や、真夜中にギターを弾き始める上の階の人。 どれほど辛い物事でも、ひとたび自分と関係なくなれば思い出として美化されていくものなのだろう、今となっては懐かしく感じられる。 僕にとって旧宅の鍵は消印が押された遊園地のチケットのようなものだった。 そして 不動産業者の人間に鍵を渡し、僕と旧宅との関係は永遠に過去のものとなった。

家の明け渡しという一大イベントを終えたことにより弾みがついたのか、そのまま食品の買い物を完遂し、美容室の予約を済ませ髪を切った。 美容室を後にした時、私が感じる私は今までの私では完全になくなっていた。心の構造の全てが変わっていった。 心の中で微妙なパワーバランスを保っていた旧宅の引き渡しが片付いたことにより、他の瑣末な問題がガラガラと音を立てて雪崩れ始めたのだ。 さながら冷戦体制終結後のよう。 本当に戦争が終わったかのような気持ちで自分の部屋を眺めている。 もうあの戦場での日々は帰ってこない。