今日は2章を読む.1章はこちら.
2章で中心的に触れられていることは,批評を受ける側とする側とにそれぞれ求められる「心構え」だ.
批評に関わる2つの立場と,心構えの重要性
- 批評における役割には,受ける側とする側との2つがある.
- 受ける側は,批評の対象となるものを生み出した人であり,批評の中で埋まれた情報・観点を受け止め,それを検討し,さらにそれに基いて行動を起こす.
- する側は,分析の対象を生み出した発想(つまりデザイン)について批判的に思考し,その中で触れられている考えや視点を伝える.
- そもそもフィードバックによって対象をより良くしようとする意志がなければまともな批評はできない.
- 話し合ったところで何の行動も変化も生まれないならば,誰も批評をしなくなる.
- 心構えが間違っていると方法も間違えるので,間違った方法で批評を行ってチームの協力体制を破壊してしまうおそれがある.
- 批評の役割にかかわらず(その場に参加しているだけであっても),正しい心構えを持っておく必要性がある.
批判的思考と良くしようという意思が必要なのね.
批評を与える
する側の心構えとは,
- それは目標に有効であるか(あるいはそうでないか)を理解させるべく手助けするよう努める.
- 「何」と「何故」の両方を検討する.
- 悪い批評は,以下のような特徴を持つ.
- 自己中心的である.なぜ悪いかというと,「良く見られたい」などの個人的な目的が重視されているからで,批評対象の向上の役には立たないから.(だからといって全てを切り捨てるのは賢くない)
- ほかに言う場所がないのでそこで言ってしまうという場合もある.
- 時機が悪い.求めていない時に批評をされると不愉快になって耳を閉ざしてしまうという受け手の都合と,時機を外した批評は実践できないかもしれないという実現性の都合とがあるから.
- 説明が足りない.なぜ悪いかというと,批評する側の責務であるところの「理解させるべく努める」という要素がないのでフィードバックを形成できないから.
- 偏っている.なぜ悪いかというと,偏った批評は好みの問題と目的の観点とを公私混同した結果生じ,それは批判的思考ではないから.
- 自己中心的である.なぜ悪いかというと,「良く見られたい」などの個人的な目的が重視されているからで,批評対象の向上の役には立たないから.(だからといって全てを切り捨てるのは賢くない)
ネットであれこれ言っているときも,悪い批評がたくさんあることがわかった. 「これはひどい」というのは説明が足りないフィードバックだということがわかった. 悪い批評を見抜ければ,時間を無駄にせずにすむ.
批評する側にとってのベストプラクティス
- 批評をする側が持つべき心構えには,ベストプラクティスがある.
- 質問で始める.なぜかというと,質問することで相手の意図を推し量ることができるから.(相手は判断の理由を話したいはず)
- 円滑なコミュニケーションという目的もあるので,尋問になってはいけない.
- 想起した感情を一度噛み砕く.なぜかというと,生の感情はあまり役立たないが,その感情の理由を探ることで新たな観点が得られるかもしれないから.
- 隠れた前提を探す.なぜかというと,前提がぶれていると連携に失敗するし,改善策も発散するから.これは質問をするだけで回避できる.
- 時機を俟つ.なぜかというと,そうすることで意味のないフィードバックを防げるから. -長所に触れる.なぜかというと,批評の本質は目的への集中であって,問題点の指摘ではないから.また,円滑なコミュニケーションもフィードバック上重要だから.
- 「何が正しくて何が正しくないか」を伝えるためには,問題点のみに頼るのは荷が重い.
- 質問で始める.なぜかというと,質問することで相手の意図を推し量ることができるから.(相手は判断の理由を話したいはず)
- 自分を客観視する.なぜかというと,直感的な主観は求められる視点(ユーザ,デザイナなど)によって揺れ動くから.考え方は視点によって違って当然なので,分解して考えたい.
「今はどの段階ですか?」と問うことで,時機を逸した批評を防ぐことができる.
良い質問ができるようになりたいと思った.
批評のシンプルな枠組み
前章でも触れた批評の3要素(側面の指摘,目的,理由)は,4つの質問に落とし込むことができる.
- デザインの目的は何か?
- 目的に関連しているのはデザインのどの要素か?
- そうした要素は目的を達成するのに効果的か?
- それはなぜか?
これ以上に質問を増やすことが重要なこともあるが,どんどん話が発散するのを防ぐために中止したり延期したりする気持ちが必要.
僕はこの箇所が一番参考になると感じた.すぐに実践できる.
批評を受ける
批評を受ける側の心構えは,
- 対象を突き放す.
- 自分に生み出されこそすれど,対象は自分の人格ではない.デザインをよりよくするために何をするべきかを理解するために批評をするのだということを心に留めておく.
批評のアンチ・パターン
- 聴かない
- 意味が無いし誰も批評をしてくれなくなる.聴くならちゃんと対象を批判的に検討する側に立って聴く
- 褒めてもらうためにフィードバックを受ける
- フィードバック失敗の原因.
- 求めない
- 有益なフィードバックは向こうからやってこない
僕もフィードバックを求めずにずるずるコードを書きがちなので,ときおり「フィードバックしてください」と求めるようにしたい.
批評を受ける側にとってのベストプラクティス
- 批評は理解と改善のためにある.善し悪しの判定のためではない.それを忘れないこと.
- 理解に努める.言い返すのではなく,相手の考えとその意図をよく見抜く.そのために説明を求めて質問してもいいし,質問に答えてもいい.
- 目標がずれていないかを確かめあう.実は一致していない目的があるかもしれない.
- 自分も批評する側に立って考えてみる.
相手の考えと意図を見抜くという点で,相手の言っていることがよく理解できずにぼーっとなってしまうことがあるので気を付けたいと思った.
批評,会話,質問
- Eメールやチャットでのオンラインでの批評は不可能に近い.やるならば,焦点の合った会話にするべく最大限の努力が必要.
- 何についてのフィードバックが欲しいのか,前提は何か,目的は何か,明記して齟齬を減らす.
読後メモ
今回も読むのがちょっぴり大変だったが,なんとか読めた.あまり自分のことと関連付けられなかった. 次回は3章を読む.