文脈:
自分は割とガンガンアウトプットする方で、たまにバズって嬉しいという品質のブログ(これ)をやっている。普段どのような心構えでやっているのか、そして続けるコツみたいなものについて書いてみようと思う(参考になるかは全くわかりません)。
あと一応断っておくと、タイトルにある "去年書いた182本の記事" は非-技術的な記事も含んでいる(けど、だいたい技術記事なので許してほしい)。
どういうときに書くか
自分は基本的にブログを「1年前(後)の自分が泣いて喜ぶ記事」というテイで書いている。自分が知りたかったことは他人も知りたかったはずだという仮説で書いていて、それを知りたかった人の総量はその技術のシェアに依存する。だからバズるかはあまり制御できない。 たまにバズることもあるけど、コンスタントに流入が多いのはGoogle検索経由なので、バズは瞬間風速だと思っていてあまり気にしていない(バズったらめっちゃ嬉しいけど)。
たまに「これどうするんだっけ」って思ってGoogle検索したら自分の記事が出てくることがあり、そういうときは「助かった〜」と思うし、満足感も得られる。泣いて喜ぶほど嬉しかったことはたま〜にある。
こう書くと高尚なモチベーションで書いているように見えるけれど、実際はそんなことはなく、この記事のようにアンサーソングとして記事を書いていたり、なんか面白い技術を発掘したので紹介したいとか、逆にある技術についてどこにも情報がなくて困ったのでまとめたとか、突発的にガッと5000文字くらい書くといったパターンが多い。
どういうモチベーションで書くか
基本的に自分のために記事を書くという姿勢を貫徹している。見てほしいというモチベーションであまり狙って記事を書くと、なんのために記事を書いているのかわからなくなって疲れてしまうので、徹頭徹尾、自分の意志が明確な記事を書いている。例えば、メモしたいとか、紹介したいとか、あるべきものが無いから書くとか、そういう意志を明白にして書いている。
でも他人のエゴには誰も興味ないので、不要なエゴはうまく漂白する。
しかしあわよくばバズると嬉しいので、ブラッシュアップはやる。だ/であるを統一するとか、参考文献をキチンとするとか、コードスニペットをちゃんと用意しておもてなし度を高めるといった行為を投稿前にやっている。定量的な根拠はないが、もう一息というときのブラッシュアップを怠らなければ、打球の飛距離が伸びる印象がある。人は見た目が9割という本が昔流行ったが、記事でもそう。ちゃんとしてそう・イケてそうな人が言っていることは信用されるもんである。技術の神は細部に宿るので、さあ公開という前に何回か磨いておくのが良い(たまに誤字に後から気付いて、こっそり直すこともあるが・・・)。
また、自分はかなり頻繁にプレビュー機能を使って記事を読み直している。たまに構成のアラが見付かって直したり、誤字に気付けたりするのでおすすめだ。特に、ガーッと上から読んでいって引っかかった箇所は必ず修正している。自分で引っかかる箇所は他人が読めるはずがない。おそらく読み飛ばされるか脱落する。
どういうときにバズるか
ここからは現世利益的なtipsになってしまうが、バズるときはいくつかの要素が複合的に絡まってバズが発生することが多い。それらのコツを抑えておくことでよく読んでもらえる記事が書けるようになるはずだから、ここで紹介しておく。
- Validな日本語を書く
- 語調を統一する
- 係り受けを正規化しておく
- 使い方が怪しい日本語を使わない(使うならちゃんと調べる)
- 出典を明記する
- どういう人向けの記事なのかを意識し、明記する
- 最初のほうに簡潔に「この記事ではxxしてyyします」といったabstractを置いておく
- 必要に応じてグラフや図を用意しておもてなしを行う
- 必要に応じて自己完結した(つまりそれ単体で動く)コードスニペットを用意するおもてなしを行う
- 見出しを用意する
- 基本的に人間は忙しいので、見出しで「あんたも読んだほうがいいよ」ということを伝えられると良い。
- 逆に最後まで読まされて「全然読む必要なかったやん」となるとあなたの印象が悪化する!!
- いずれにせよ見出しを用意して、はてなブログではついでに目次記法を使うとよい
- 良いタイトルを付ける
- ウソをつかない範囲で、読みたくなるようなタイトルにしてもよい
- 箇条書きの型を統一する
- 後述
論文やん
これらの通奏低音として流れているコンセプトは「技術情報のパッケージング」である。1つの記事で完結している(各項でも完結しているとベリ〜グッドだ)と、同僚に「これ読んで」と渡しやすくなったりするので、副次的にバズる率も上がるであろう。 なんらかの技術コミュニティに貢献するという気持ちで記事を書くといったら分かりやすい。ちょっとした論文を書いているという気持ちでやると、インテリ気分を味わうことができるし、記事の質も上がる。
さて上掲のリストを見ればわかるように、一発逆転テクニックは無い。ただ誠実に記事を書くだけという感じである。良い記事を良いパッケージで伝えられれば、バズの引火点には到達できる。 逆に一発逆転を狙って派手なだけの記事を書くと悪い意味で発火してしまい、火達磨になってしまうから、やらないほうがよい。
例えば以下のようなことはやらないほうがよい:
- ウソをつく
- 最悪!
- 分かっていない事について書く
- 何を伝えたいのかが曖昧なことを書く
- 何かを攻撃的に批判する
- 納得いかないことで攻撃されたら人は怒る
- 同様の理由で、『まだxxで疲弊してるの?』とか『yyはオワコン』みたいなタイトルの記事は書かないほうがよい。
- 既に良い記事があるのに同じことを書く
- 勉強メモは例外。わかっていない状態がわかるようになる過程は非常に参考になるため
- ネットスラングを使いすぎる
- スパイス程度に使うのは良いが、素材の味を大切にしよう
あとは運なのだが、その時話題になっていること、みんな知りたいと思っていること、単純に面白いこと、といった要素をうまく加味できれば、バズが発火することがある。
ちなみにこれはセコいテクニックなのだが、自分は自信作だと思っている記事はしつこくRTして聴衆に届ける努力を行っている。人がいそうな時期にRTして、有名人がシェアしたら儲け物だ。
どのようにして続けるか
コンスタントに記事を読んでくれる読者の存在は強力な推進剤になりうる。自分みたいにちびちび書いていると、ブログの読者になってもらえることがある。大変ありがたいし、技術者として名誉なことである(今数えたら、439人もいるようだ!)。 このような状態でさらに記事を書いていると、読者の方が率先して読んでくれるようになり、例えばブックマークでコメントをもらえたり、バズりやすくなったりと、モチベーションが出るグッドサイクルが動き出すようになる。 なので役立ちそうなことを淡々と書いていくのが良かろうと思う。
技術記事は貯金に近いと思う。貯金自体はたいしたモチベーションにはならないのだが、数字が増えていったり、継続することで自己満足できたりして、結果的にお金を貯められるといった感じだ。今見たら、1161記事も書いていた。もうこうなったら止めようと思っても止められない。しかしこの中でもバズったのはほんの一握りにすぎない。
あとそもそも自分は日本語を書くことが好きなので、一種の日本語盆栽としてブログを書いている側面がある。そこで、今回はこういう文体にしてみようとか、どこかで見た語彙を使ってみようとか、国語のドリル感覚で記事を書いてもいいぜと思う。そのためには、全然技術離れした日本語をチューチュー吸っておく必要がある。新聞とかネットの記事とか、小説や二次創作漫画からいろいろなものを吸収してみよう。
余談: 箇条書きの型を統一する
これは余談なのだけれど、箇条書きはとかく濫用されがちで、書いている本人はうまく書けているような気持ちになってしまうという欠点がある。何も考えずに生成した箇条書きは、シリアライズされた日本語よりも論理構造の表現力に劣ってしまうことが多い。 これはある一点に気をつけると改善される。それが型の統一である。
どういうことかというと、箇条書きの同じレベルでは同じ分類の事しか書いてはいけない 。例えば以下のような箇条書きは型が統一されていない:
- Aをすると良い
- でも例外もある
- Bをすると良い
- B1をすると良い
- B2をすると良い
- Cをすると良い
- なぜかというと・・・
- こういう理由もある・・・
最上位のレベルでは論理的に並列が保たれているが、その下位のレベルでは主張がバラバラである。読者はこういう箇条書きを見たとき、なんとなく納得した気になるか、もっと注意深い読者は読むのをやめてしまうだろう。
以下のような箇条書きにするべきだ:
- Aをすると良い
- Bをすると良い
- B1をすると良い
- B2をすると良い
- Cをすると良い
さらに加えて、別途AとCの補足を書くほうが良い。
参考文献
良い記事(の骨格である、良い文章)という点にフォーカスした書籍をいくつか紹介する。
これは定番本。入学すると読まされることが多いと思う。題名の通り、理科系にフォーカスしている。単純明快を旨とせよという主張であったと記憶している。
ちょっと古い本だが定番。元朝日新聞の編集委員が書いているので、より読み物としての日本語にフォーカスした本。理科系のための本ではないので、たまにフワッとしているときがあるが、日本語は形式言語ではないのでまあそんなもんだと思って読むとよい。
元コンサルの人による文書(文章に限らない)の構成法の解説。これはビジネス文書にフォーカスしているが、要するに論理構造を明確に記事を構成しろという主張の本なので、ブログにも十分応用できる。