id:hitode909におすすめされたので読んだ。リーダーであるエンジニアのための本だが、リーダーでない自分にも学ぶべき点を見付けることができた。
この本は「チームリーダーの仕事は何か?」を説明する本だ。 大原則として、リーダーの仕事は、「メンバーの成長を支援すること」である。 そしてチームは状況に応じて3つのモードのいずれかの状態に移行する、と規定し、リーダーはモードに応じて適切にふるまう必要があるのだという。
例えば、メンバーが学ぶための余裕を捻出できない状態である「サバイバルモード」にあるチームでは、リーダーの仕事は「指示を出すこと」である。 この本では「船が沈みそうなとき、船長は会議など開かない」と表現している。逆に、チームが自律して成長できている「自己組織化モード」にあるチームでは、リーダーの仕事は「ファシリテート」、つまり状態を維持してチームが成長し続けられるようにすること。直接指示を出す必要はもうなくなっているのだ。チームの状態は環境によって変化するので、チームが求めるリーダーとしてのふるまいを正しく見極めて、行う必要がある。
- 作者:Roy Osherove
- 発売日: 2017/05/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
コミットメント言語
ところでこの本の中には非リーダーにとっても役立つ項目がいくつかあるが、白眉なのはコミットメント言語である。
ちなみに自分はひねくれているから、コミットメントというとなんだか胡散臭いビジネス用語に見えてくるので一歩引いてしまうのだが、 自分は変な横文字が嫌い、というか横文字を胡散臭く使っている人が嫌いなのだなということが分かった。言葉に罪はない……。
さてコミットメント言語とは、チームメンバーが何らかのタスクをこなすことを合意するときに使うべき言葉の作法とでも言うべきもので、具体的には次のようなものだ。
来週、少なくとも毎日5時間ずつは、これらのバグ修正に取り組みます。(本文より引用)
コミットメント言語は、「(時点)までに(事柄)をします」という、未来の自分の状態を述べるような形式で表現される。 決して「するべきです」「したいです」「すると思います」にはならないのがポイント。明快な約束を行うための言語なのである。
このコミットメント言語は、次のような点で通常「約束」される言葉よりも優れている。
- 徹底的に主体性を重視している
- 「バグ修正に取り組むべきです」ではなく、「取り組みます」なのである。
- 「やる」ことが明確である
- 「様子を見ます」ではあいまいである。「バグ修正に取り組」むのはやることが明確だ。
- 約束できる
- 「バグを修正します」だと、コントロール不可能な事柄(バグが本当に直るのか)をコミットメントの対象にしている。
- 本人にどこまでコントロールできるのかを意識させるという優れた副作用がある。
ソフトウェアの不具合や様々な懸念について、やったほうが良いとチーム内で合意したものの、結局誰がやるのかが宙ぶらりんになって放置される、という状態に心当たりがあるならば、コミットメント言語が力になるはずだ。 コミットメント言語は、チーム内で誰が何を行うかについて明確な合意と約束を与え、チームメンバーに指針を与える。「やったほうが良いな」を、小さいかもしれないが明確な前進へと置き換えるのだ。
もちろん無理なコミットメントは行わないこともこの本には明記されている。制御できるものに対してしかコミットしてはならない。大抵のメンバーにとって制御できるものとは、それにいつどのくらい時間をかけるか、である。 制御可能な事柄についてコミットを積み重ねることで、最終的に達成したいものに近付くのだ。
はい
というわけでコミットメント言語について学んだので明日から使ってみようと思う。圧倒的成長していこうな。