日付が変わる頃に部屋を暗くして寝ようと思ったが、苛立って眠りにつくことができない。
仕事も目立った成果が出ず、ただ無駄に賃金を受け取っているだけで、気晴らしにやるゲームも負け続きでむしゃくしゃする気持ちだけが残った。そして時間を無駄にしたことを悟って二倍腹が立つのだった。
手元にあるチェーホフのアンソロジー『六号病棟』の『六号病棟』を読む。読後感は大して良くもなく、暗い気持ちがねばっこく続いただけだった。心を揺さぶる分ゲームよりマシな気がしただけだ。気持ちを落ち着けるには役に立たなかった。
しかもなんだか風邪っぽい。葛根湯を服用する。作り置きした温かい烏龍茶を含んだが、ポットからは薄汚れた自分の机には不釣り合いな香りを漂わせていて、微妙に惨めに感じた。
暑さに耐えきれず冷房を入れる。夜くらい快適に寝たいというやけっぱちで動かしている。誰がいつ使おうが文句を言われる筋合いではないはずだ。しかし自分の中に嫌な自分がいて、何にでも文句を言うので困る。
一人暮らしでは、家族や恋人との間で起きる化学の反応は望むべくもない。ただ自然の法則に従って、落ち込んでいるときは落ち込むままになり、怒りを顕にすれば、やつれるまでほとぼりが冷めない。一人では休むこともままならない。手腕の不安、心許なくももとよりない金、そういう不安は勝手に入ってくる。
上階の人間が騒ぎ立てていて不愉快だ。
一日あたりの情報量が多すぎると感じる。もしくは自分が摂取過剰なのか、忘れることがうまく行かないのか、頭の中に概念が飽和して、立ち行かない。脳を取り出して、こびりついたものを流水で洗いたくなる。