VAIO SX14-Rをヨドバシカメラの店頭でカスタマイズ購入した。着弾後1週間使ってみたのでレビューしてみる。今のところ自分が求めていたものが完璧に近い形で手に入ったため大満足している。
自分について
ソフトウェアエンジニアであり、2ヶ月に一度ほどカンファレンスやイベントに出席している。このときノートブックを携えていくことがほとんどである。プライベートでもよくプログラミングなどを行う。
買い替え前の機種
もともと自分はLenovo ThinkPad X270を保有していたが(たしかこの時もヨドバシで買ったような気がする)、購入から8年近く経過したこともありスペック的に限界が近付いていた。また、内蔵+外付けバッテリーも完全にヘタりきっており、1時間も駆動できなくなっていた。
一度延命として互換のメモリを増設して8GiBから16GiBにメモリをアップグレードしたものの、CPUの世代もだいぶ古く、そもそもバッテリーもヘタっていたので焼け石に水である。
互換品のバッテリーは怖くて購入しなかった。家を燃やしたくないため。
購入の観点
PC買い替えにあたっていくつかの観点で選定した。その結果SX14-Rが選ばれた。色はあまり気にしていなかったが、店頭で見たエメラルドグリーンが非常に美しかったのでこの色に即決した。
MUST要件
- 軽量であること
- 出先でのプログラミングに耐えうる、そこそこの性能であること
- バッテリーが丸一日のカンファレンスに耐えうること
- 出張や普段の持ち運びに耐えうる頑丈さがあること
- Type-C端子を複数搭載していること
- Type-A端子も搭載していること
- Type-Aの周辺機器も当然持っているため。Cに統一するのは無理筋
- 14インチ程度
- 12.5インチは作業するには小さすぎた
SHOULD要件
- US配列のキーボードに対応していること
- HDMI端子を搭載していること
- 登壇用
- 国産であること
- 関税などに苦しむ自国企業を応援してやろうという義侠的な発想と、なんかあったら国産のがサポートがまともだろうという下心の二本建て
不要要件
- SIMの搭載は不要とした。
- カンファレンス会場にはたいていWi-Fiがあるため
- 普段からどうせスマホを持ち歩いており、テザリングさせるため
- Linuxのドライバがアテにならない
その他の候補
富士通のUHシリーズはより軽量であったため常に天秤のカウンターパートで揺らいでいた。こちらはひとまわり安いし、600グラム台とわけわからん軽さになっている。ただしバッテリーの容量差はSX14-Rの大容量バッテリー搭載時と比べると実に半分であり、なによりもUS配列がないことで苦しむことになった。
富士通のマシンは自宅サーバでもPRIMERGYを使ってるし、実家でも使っているから信頼している。基本設計が良いのか、長く使ってもぜんぜん壊れないのだ。個人的には国産メーカーの良いところはこういうスペックに出てこない道具としての素性の良さみたいなところだと思っている。どれだけ良いCPUを積んでも熱設計が良くなければすぐスロットリングしてダメになってしまう。どれだけ筐体が軽くても設計が悪ければ一瞬で壊れる。以前X270でも初期不良を引いて、底を片手で持って持ち上げると(内部のなんかの接点が触れてしまい)電源が切れるというひどい欠陥を踏んだことがある。
id:uzulla さんもマッシーンは軽量なものにせよと言っている。本当にそうだと思う。X270はまあまあ重かったので持ち運ぶのがけっこう億劫だった。
購入スペック
検討の結果、SX14-Rを購入することとした。決め手はUS配列だった。あとは店頭で見た筐体が美しかったので愛着が湧きそうだな、と思ったのもある。個人的にはMBPよりも好き。
- カラー ディープエメラルド
- OS Windows11 Home
- どうせ消してLinuxを入れてしまうのでなんでもよい
- CPU Core Ultra 5-125H
- メモリ 16GiB
- 配列 US
- バッテリー 大容量に換装
- 最近のマシンはThinkPadなどの例外を除いてはほとんどバッテリー内蔵になっていて後からの交換はほぼ不可能。最初に劣化する部品がバッテリーなので、最初から最強にしておく。
- のぞき見防止フィルター 追加
- 新幹線で作業などしたいため。
- あとは標準の通り
全体的なSX14-Rの特徴について説明しておくと、まず天板と底板にカーボンが使われており軽量化と堅牢化が同時に達成されている。最近はカーボンプレートの採用も増えてきているようだ。加えてチルトアップヒンジになっていて、筐体を開くとキーボードが上にせり上がるようになっている。またMIL規格に準拠していることもアピールポイント。
どこかのツイッタラーが、MacBookと他のPCの違いはこれだと言ってPCをパカパカさせ、MacBook以外のマシンが片手で開かないのを槍玉に挙げていたが、SX14-Rは可変トルクヒンジを搭載しているので普通に片手で開くし、180度完全に倒せる(オタク特有の早口)。はいこっちの勝ち
また、左右にType-Cポートがあり、どちらからも充電できる、がこれは最近のノートだと普通っぽい。ちょうどType-Cが世に出てきたころのPCを使っていたので、隔世の感がある。
利用環境
自分の利用環境では、自宅の中、スタバなどの喫茶店、飛行機や新幹線などの移動手段、そしてカンファレンス会場などの出先での利用を想定している。今のところ自宅とスタバでしか使っていないが、非常に良く働いている。やはりバッテリーの駆動時間の長さがうれしくて、スマホくらいの感覚で使いっぱなしにして、たまに充電する、といった使い方ができている。家では充電しっぱなしということもなくて、普段はバッテリーで駆動させている。
OSはopenSUSE Tumbleweedを入れた。
感想
全体的な感想としては大満足している。特に大きな問題も発生せず、期待通りの働きをしてくれている。
発送
ヨドバシカメラのカスタマイズブースで店員さんに相談に乗ってもらいつつスペックを選んでいった。基本的な要求スペックは決まっているのであとは微調整くらいだったが、実物のカラーなどを見られたのが良かった。商品や注文後の流れの説明も丁寧で良かった。
注文から1週間ほどで発想されて到着した。国内で組み立てているのであっという間に安曇野から発送されてヤマトで届いたのが面白かった。
包装
包装は非常に簡素だった。日本製商品といえば箱のついでに製品が付属するようなイメージがあったが、VAIOは軽量包装にも気をつかっているようで、包装の段ボールと、これに加えて内装用のグレーの包装材、最後に不織布のカバーがかかっていただけで、とてもスッキリしていた。ゴミも捨てやすかったし個人的には非常に良いねと思った。自分は電子マニュアルを選択して紙のマニュアルはいらないですと言っていたので、もし紙のマニュアルを選んだ人はもうちょっと色々付随していたかもしれない。
内容物としては以下の通り:
- 本体
- 画面拭き(地味に嬉しい)
- 充電器(簡素な不織布の袋付き)
- 覗き見防止シートと貼り付けシール
また、Windowsのライセンスまわりの情報は外箱ではなく別途小さな内箱に印字されていたのが好印象だった。外箱に印刷されてるともう捨てられなくなって苦労するので・・・
性能
いくつかのベンチマークソフトで計測した。デスクトップ機ではないので控え目な性能だが、自分の用途では十分。
そしてやはり軽い。1kg強というのはここまで気楽なもんなのか、と思った。持ち運んだときの心配のなさといったら、重さというのはここまで心理的に幅を利かせているのだな、と自覚するに十分だった。カーボンなので軽さのわりに頑丈なのも良い。
スペックに出ない点
スペックとして出てこないいくつかの点についても言っておこうと思う。
まず、キーボードの打鍵感が非常に良い。この手のマシンのキーボードはペチペチと揶揄されるくらいにはキーを打鍵したときの跳ね返りがキツいのだが、SX14-Rのキーボードはパコパコという感じで結構沈んでくれるし長時間タイプしても疲れない。音もそんなに耳障りではない感じで、いかにもノートといったキンキンした感じがないのが良い。表面仕上げも丁寧で、照明が跳ね返って眩しいということもない。地味に秀逸なキボードだと思う。
しかし単体でPgUp/PgDn/Home/Endがないのは少し不満だ。これまでは単体でこの手のキーが用意されていたため、一瞬ひっかかってしまう。仕事的にしょっちゅうページをスクロールするので、単体でボタンが用意されていたほうが嬉しかったと思う。
加えて、キーボードのバックライト調節ボタンがキーボードに備わっていないのが少し気になった。これはWindowsのソフトウェア側から操作しなければ明るさを変更できない。自分はLinuxを入れてしまったので、未来永劫バックライトを点灯できない。ThinkPadではキーボードバックライトの操作自体がファンクションキーに統合されていたので、油断していた。
また、トラックパッドに小さい不満がある。
まず、これまでずっとThinkPadだったので、マウスボタンはトラックパッドの上に配置されていると良かった点。すばやくマウス操作したいときに親指を頑張って伸ばしてボタンに伸ばす必要があって作業のリズムが一旦中断されてしまう感じがある。
次にトラックパッドがクリックダウンしない点が少し不満。ThinkPadのときはコチコチという感じで今クリックしているかどうかが分かったのだが、SX-14Rは押し込んでも触覚的なフィードバックはないので、スクロールしていたつもりがうっかりドラッグになっていたりすることがある。これはちょっと惜しい。
Webカメラにはシャッターがついているし、動作中はランプが点灯する。プライバシーを重視している身からすると嬉しい。
充電ランプは左端にのみ搭載されているが、ランプは小さな球形になっていてわずかに筐体からせり出しており、真横から見なくても様子を伺うことができる。このへんの細やかな気配りと仕上げに気付くことが多いマシンだ。全体的に筐体の部品の仕上げが丁寧だと思った。妙に出っ張って目立つパーツ、といったものがなく、うまくできている。
付属する充電器のケーブルの突端は引き抜きやすいようにくさび型になっていて、ここも気配りがあるなーと思った。
負荷をかけたときのファンの騒音もほぼ気にならない感じだった。ThinkPadでは爆風だったので左側の座席の人に気を使うレベルだった。このへんはさすがというところ。開くとチルトして底板が浮くタイプの筐体だから排熱もしやすいのだろうか?
この薄さでLANポートが付いているのも地味に嬉しい。ただあまり使うことはないだろう。セキュリティが心配なときに使うかもしれないが、そういうときはVPNを使いがち。
全体を通して
全体的にはよくまとまっていて非常に使いやすいマシンだった。同様の用途で購入を検討している人がいたらぜひおすすめしたい。ただし、Linuxを入れる場合は指紋センサは使えないので注意すること。