Lambdaカクテル

京都在住Webエンジニアの日記です

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寡頭制の鉄則とニコニコ動画との奇妙な因果

どうも、椛川です。じっとり汗をかくような季節になってきました。
ゴールデンウィークも目前に迫り、明日には新幹線で地元に帰って友人と時間を過ごそうかと思っています。
さて、その友人も高確率で、さまざまな形はあれど、僕と同じく(類友の法則)オタクです。
まあその話はさておいて、多くのオタク諸君に寄り添うように存在しているのがニコニコ動画であり、これなくして現在のオタク文化は語れないほどにまでその存在が巨大化しているのですが、今となっては完全に昔とは異なった様相を見せていることに、お気付きの方もいらっしゃるのではありませんか?

その昔、ニコニコ動画(以下、ニコ動)が誕生して長らくは、動画の発信者と、その視聴者は、コメントシステムという世紀の発明によって、擬似的に対等な立場の上に立ち、従来の動画サービスとは全く異なる形態での進化を始めました。
それまで埋もれていたひとりひとりの才能が加速度的に発芽し、ニコ動文化とでもいうべき独自の文化を発展させました。
それも、利用者の手で。

現在のニコ動はその時間的に下流にあることになりますが、以前とは異なる形態を見せ始めたのです。

分業の成立です。

いまではボーカロイド楽曲、つまりボカロ曲一つとって観察してみても、その流布の過程には複数のクリエイターの活躍があります。
おおまかに「ボカロP」と呼ばれる作詞作曲家の存在、「PV師・動画師」と呼ばれるプロモーションビデオ作成の担い手(もっとも、新曲発表の時点でここまで完了していることが最近では多くなった)、「歌い手」と呼ばれるボカロ曲を専門に歌う「職業」、また分化して「踊り手」や「弾き手」の存在が確立され、波及的に、多角的に一つの楽曲が進化する状況が成立しました。
最近では、(もう古いかもしれません)「ブラック★ロックシューター」の超多角的な発展がありました。

このような状況の中から、ニコ動からほぼ独立して活動するようになったクリエイターが登場したのです。

また同時進行で「ニコニコ生放送(以下、ニコ生)」における有力「生主」も確立しました。
生主はコミュニティを形成し、大きなものでは数千人を擁する巨大集団にまで成長させています。

これらの事が相互作用し続けた結果、ついにニコ動はインターネットの壁を飛び出し、先日の「ニコニコ超会議」を成立させたのです。

人類進化とニコ動

…と長く、しかしながら薄くこれまでのニコ動の歴史を適当に説明しましたが、この過程がなんと人類の進化とほぼ同じ過程を辿っているのです。

カオス状態の平等閑散な状態から、有力な存在が周りを従えて成長し、それぞれが分業制度を確立し、ある者はブランドを獲得し、独自の文化をひたすら進化させ、愛国心を養い、コミュニティ同士の抗争が発生し、暴動も発生し、理不尽な国家に不満を募らせながら人類は進化してきた。

これってそのまんまニコ動と同じだと思いませんか。

ニコ動は文字通り、文化が進化する構造だったのです。

ついにニコ動で政治や経済、社会についての意見も飛び交うようになり、今やニコ動は現実世界にも強力な干渉力を持っているとみてよいでしょう。
その事実を明確に示したのが、数年前のフジテレビ抗議デモということになります。ニコニコ動画に限らず、多数のサイトへの波及もこのデモの成因ですが、ニコ動の果たした役割は大きかったはずです。

同時に外部社会もニコ動に目を付け始め、政治家やゲーム制作会社、外部のクリエイターの参入も激しくなってきました。

それに対して、「ニコ動の文化が廃る」と嘆く昔からのユーザーもいますが、まさしくそれはいまの日本の外国文化との関係のいきうつしなのです。

寡頭制の鉄則

分業から話がおおきく逸れてしまいましたが、ドイツの社会学者ロベルト・ミヒェルスが提唱した、エリートの存在と集団の支配に関する法則性「寡頭制の鉄則」を見てみましょう。

寡頭制の鉄則 概要 (Wikipediaより引用)
  • あらゆる組織・集団(共同体、団体)は、規模が拡大すれば必ず少数の指導者による支配が実現される。
  • 成員が増加して規模が拡大していくにつれて、巨大な組織・集団の運営が複雑化・専門化していく(官僚制化)。
  • 一般の成員は、複雑化・専門化した組織・集団を管理する技能を持たないため、少数の指導者たちに運営を任せ、依存するようになる。
  • そして指導者たちは、地位を保持するために、自らを批判する者たちを排除しようとする(このことをミヒェルスはボナパルティズムと呼んでいる)。指導者らは、自らが一般の成員から選ばれたことを根拠にして、自らが民主制に則っていると主張する。そのうえで、批判する者を「反民主的」ないし「反体制的」「社会転覆を画策している」などのように中傷する。

ぞくぞくしますね。恐ろしいまでにニコ動の傾向を言い当てているような気がするのは、はたして僕だけでしょうか…?

平等で民主的であり、また同時に残酷なヒエラルキーの存在するニコニコ動画、なんとも社会的でオモシロイですね。

そういうわけで、僕にコスプレを始めるきっかけをくれたニコ動に感謝しながら、明日のコスプレイベントに赴く準備をしています。
ありがとうニコ動。

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