Lambdaカクテル

京都在住Webエンジニアの日記です

『なれる!?Webエンジニア』を読んでキャリアと思い切りとコミュニティについて再考した

学び続けることを信条としていきたいid:Windymeltです.

今日技術書典が開かれていることを知らなかったのでid:kiryuanzuによる『なれる!?Webエンジニア』がいきなりTwitterのTLに流れてきたときは「もうそんな時期だったか」と驚いてしまった.

kiryuanzu.booth.pm

自分は就活というものをほぼ経験せずに今までやってきたから,真剣に就活をやって自分を鍛えてきた人間の文章を読むのが結構怖い.丁寧に言語化された物語や感情に触れると,自分の人生における就活の空白,すなわちインターンを経由してぽんと入社してしまったこと,にスポットライトが当てられるようで,しかるべき努力というものをせずに仕事をしていること,真剣に戦場にやってきた人間がライバルになることに,いつか追い抜かれてとりかえしのつかない事になるような恐ろしい気持ちがするのだ.

まあそういいつつ,俺にだって経験と努力があるさ,と保険をかけつつBOOTHで購入して一気に読んだ. 学ぶべきところがたくさんあった.

  • 桐生さんに持っていた印象: 吸収力とアウプのバケモン

きっかけについて語っていること

7pからは,就活以前の,「エンジニアという仕事に興味を持」つきっかけについて語られている.

自分はどういうきっかけでこの世界の方へ歩きだしたんだっけな,と思ったけれど,気付いたらこっちにいたような感じであまりこれといった記憶がない.印象に残っている事物といえば,『ハッカーと画家』や『手習いGauche』『HSP』『シューティングゲームプログラミング』あたりだろうか.昔はPC雑誌についてくるDVDに収録されているゲームで遊んでいたのだが,そのうち自分でもゲームを作ってみたいというふうに思うようになり,弟と『RPGツクール』とか『CardWirth』とかで遊んでいたように覚えている.いわゆるエディットがあるゲームにのめりこんで,そのままプログラミングという世界に接近していったのだと思う.

不運にも自分が育った土地にはプログラミング勉強会もプログラミングスクールも存在していなかったのだが,当時はまだ有料だったVisualBasic.NET(当時はまだVisualStudioという名前ではなかった)を親に買ってもらったことでようやくプログラミングというものを始めることができた,という感じだった.あれがなければプログラミング環境というものが揃わない時代だった.とはいっても実際に何かアプリケーションを作り上げたというわけでもなく,画像の色加工をするプログラムとか,シューティングゲームっぽいものをWindowsのFormで(!)作ったりしていた.当時は家にネットが通っていなかったので,Webサービスという概念も存在していなかった……

ちなみにgitとかsshという概念を理解するのは,親からお下がりのPCをもらってLinuxをインストールし,Windowsを破壊してからの話.

まあとにかく自分は「中の仕組みはどうなってるんだろう」駆動というか,なんでも分解しては家の者を困らせていたので,そういうモチベーションがプログラミングに向かう力をくれたのかな.

「「思い切り」を意識して行動する」

書中のワードの中でもガツンときたものの一つ.

プログラミングの文脈かどうかによらず,自分の人生には思い切らなかったことで後悔したことがたくさんあるな,と思った.そして思い切ったことで後悔していることはあまりないような気がする.思い切ってはてなサマーインターンに応募したら,情報系でもないしアルバイトの経験も無いのに採っていただいたりしたわけなので.

今でも思い切りが出せないことが多い.就職してから4年になるけれど,元々持っていた不眠症に加えて,学歴も実績もある鍛え上げられた同期に対する劣等感からかなり精神的に参ってぐちゃぐちゃになってしまって,本書でも取り上げられている『自分の中の小さな「箱」から脱出する方法』でも取り上げられているような,「箱」に入った状態になってしまっていた.その後じわじわと自尊心を回復して*1,「できる」事が増えていき,自信がついて,自分を受け入れてくれる友人知人も増えていき,「思い切る」ことが少しずつできるようになってきた.

先日のBuildersconに参加できたことや,ISUCON9に参加できたことは,今までの自分からしたらかなり思い切った行動をしたなあと思っている.同僚や友人が誘ってくれなかったらやっていなかったと思う.それでも隣の芝は青いというか,見知った人がカンファレンスのために海外へ向かったり,カンファレンスのコアスタッフとして場を盛り上げようと努力していたりするのを見ると,ああ自分はまだ思い切りを出せていないな,まだ思い切って何かできそうだな,と思ってしまう.

blog.3qe.us

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ガンガン目に見える形でアウプと実績を重ねていく桐生さんがただ漠然と怖いということがあったけど,その行動力の裏にはこうした「思い切り」の重視があったのだな,ということを知ることができて良かったと思う.これなら自分にも真似できるし,それを軸にコミュニケートして切磋琢磨できるようになるな,という安堵の気持ちがでてきた.

「Rails + PostgreSQL + Heroku」

この技術スタックにえーと思ってしまいがちな自分は多分ひねくれたサブカル野郎なのだと思う.ご笑覧ください.トヨタの車やホンダのバイクが嫌い,みたいな,そういうしょうもない,メインカルチャーに対して斜に構えた所が自分にあることが分かる.チュートリアルをスキップして後で詰む,みたいな.早とちりしがちな自分.

無駄を削ぎ落とした「本物」じゃないといけない,みたいなそういう気持ちがある*2.玄人好みとか,プロ仕様,みたいな言葉にとんでもなく惹かれてしまうのは,悪いことなのか良いことなのか,ともかく自分のしょうもない所だと思う.たぶんこれは2ch文化に染まりすぎたせいだと思っていて,スイーツ(笑)みたいなメジャーなもん叩きの悪影響を受けていると思う.下手に「使われるか」みたいなことを意識してしまう,みたいな.自我がでかすぎる.

自分には,はやい・うまい・やすいみたいな価値観が必要.俺はすぐ凝った技術スタックを使おうとして何もでき………うあああああ!!!!!!やめろ!!!!!!

「短期間で一気に作る」「雑なものでも良いからまずはアウトプット」「人に言うことはできるだけしない」

返す言葉もないという気持ち.「最高の物を作ろうとする」「構想だけがあって一向に動作しない」「言うだけで満足してしまう」を地で行きがちなので,壁に貼って戒めにしたいほど. 世の中にあるプロダクトの品質が高すぎて,自分なんかが作るのは畏れ多い,みたいな気持ちになってしまう.

「エタる」っていう言葉は初めて知った.

「エンジニアコミュニティ」

高校あたりで根性が歪んでしまって,「群れる is BAD」な価値観に染まった男Windymeltなので,コミュニティ活動みたいなのをあまり熱心にやったことがない.でもモチベーションをコミュニティから貰うってことは結構あると思う.Rubyコミュニティの様子を見てみたいと思った.

自己開示するのが大切と思った,という言葉も自分にとって重みがあった.自分は自己開示せずに済ませることが多い.個人開発した虎の子みたいなものがないので,その自信の無さが自己開示を妨げているのかもしれない.「あなたは何者ですか」と問われて,「はてなで働いています」以外に何も繰り出せなかったら,とても悲しい気持ちになるに決まっている.とはいえ,こういうものが好きです,とか,繰り出しようはいろいろあるのだから,ひねくれることはないと思った.

就活

自分は就活をやったことがない.やりたいかと言われればやりたくはないのだけれど. 読んでいると,真剣に「キャリアを背負って自分の能力を活かし伸ばしつつ会社で働くこと」に向き合っているのが伝わってくる. 逃げ道として,「意識高けえなオイ」という言葉でごまかそうとしてしまう.

緊迫したグループディスカッションの世界も、毎日のようにスーツを着て一斉にテストを受けたり面接でキビキビとした返答をするような空気も体験することはありませんでした

ここらへん読んでて胃がキリキリしてきた.エンジニアになれて良かった……というしごく普通の声を洩らしてしまう.おなかこわしそう.

自分もキャリアと真剣に向き合わなければならないな,と思いつつも,日々暮らしている拙宅の中では,自分に向き合うのが怖い.むしろどこか外にある喫茶店のような場所でなら向き合えるのだろうか.意識高い,みたいに感じるのは,現実に存在する自分の事として認識していないからだろうと思う.

だいたい高卒たまに中卒,マジメだと苛められる,大学に行く人間はほぼいない,そういう地方で生まれ育って,県内の進学校に行ってみたら,みんな大卒の親がいて,公務員とかをやっていて,習い事をさせてもらっている.授業で手を上げて発表しても苛められない.大学に行くとかっこいい服をたくさん着ている人がたくさんいて,趣味は楽器で,親の金で車を買っていたりする.自分の意見を持ちなさい,と指導される.就職するともうエリートの世界で,世の中に貢献したい,みたいな事を言われる.最初のうちは,どっからそんな言葉が出てくるんだよ,と思ったもんだ.

キャリアの話に戻すと,就職するまでにどんどん世界が変わっていったからそういう事もあるんだろうけど,本当にそんな世界があるんだろうか,と思ってしまうのだ.キャリアというものにあまり実感が湧かない. でもいずれは向き合わなければならない.

メンタルコントロール

書き殴る,ということが描かれていたけれど,昔の自分も鬱屈した感情をどんどんブログにぶちまけていて,文字のゲロみたいな状態だったし,褒められることはなかったし,感情がちゃんとなった後の話で,そういうことは書くもんじゃないと言われたから今はもう書かないけれど,でも確かにあの時感情をぶちまけていたのは間違っていなかったと思った.人間,情報が入ってきたならその分出力しなければ釣り合いが取れないと思っている.受け取るままだとおかしくなってしまう.

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』も,就職して2年頃のときに頭がおかしくなりそうで投薬されながら読んだ記憶がある.今でもたまに読むことがある.当時はこういう自己啓発,というよりは救済の書を渇望していた.よりよくなるのではなく,心の拠り所が欲しかったのだと思う.この時にやばい宗教に入っていたらやばかったと思う.

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2006/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「本当に自分が入りたい企業を言語化する」

大学生のときはこういうことまで考える余裕が無かった.両親に大学の話が通じないし,友人は大学慣れしていて,ついでに金も無いし,不眠と注意欠陥のコンボで,暮らすので精一杯という状態だった.今は別の企業に行くということは考えていないけれど,本来はこういうことは既に考えているはずなので,これからゆっくり考えていきたい.

印象に残った本のコーナー

読んでない本がいくつかあるので,読みたい.

  • 『コーディングを支える技術』
  • 『アジャイルサムライ』
  • 『カイゼンジャーニー』

まとめ

大作お疲れさまでした.楽しく(時にはほろ苦く)読むことができました.これまで向き合ってこなかった「キャリア」「思い切り」「コミュニティ」について,再考を促す書として刺激を受けることができ,学びがあったなあという気持ちです. 文系出身者エンジニアとして共感するところの多い本でした.

*1:なんで回復できたかというと,孤独の解消や考え方の改善など,小さな一歩を繰り返したことによるものが大きい気がする.

*2:トヨタもホンダももちろん本物なのだが.