Lambdaカクテル

京都在住Webエンジニアの日記です

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花束を買うとオバちゃんにモテる

もうとっくに春と呼べるような気候が過ぎ去り、もりもりと緑が深みを増していく初夏の京都において、ゴールデンウィークの人いきれを回避しつつ悠長な昼下がりを過ごす方法はこの世に存在しないとされており、自分も例には漏れず、ラーメンを食べたついでに人に揉まれながら繁華街をうろついていると、家に生けてあった薔薇が褪せてしまっているのを思い出し、最初に見付けた花屋に巡礼してなんか見繕って帰ることにした。

おれはそんなに花に詳しいわけではないので、適当にその季節の旬みたいなやつを適当に二本、加えてグリーン要素を二本程度買って帰るのがお決まりだ。今回は白い芍薬と赤い薔薇を買って帰ることにした。カード会社の承認が降りるまでの宙ぶらりんな時間を、都会の花屋はどこででもクレジット・カードが使えていいな、歩いて行ける距離に花屋があるのはいいな、などと思って過ごしていた。

両手に花なんて言葉があるが、今のおれは花より団子、途中で柏餅を買ったので、左に餅で右手に花のハイブリッド構成で寺町商店街を闊歩していた。そういえば今日はこどもの日だったな。この間公園でたくさん子供がいたな、ベビーカーだとこの時期の人込みは大変だな、なんて考えていると、いつしか道はさばけていて、いつものオフィス街の見慣れた街区に戻っていた。

途中でスーパーに寄ろうかと思ったけど、昨日に鯛のアラを買っておいたからこれでいいな、と思って、寄らずにそのまま帰っていると、「あなた〜!」と知らないオバちゃんに呼び止められた。

「あなた素晴らしいわね、花束なんて、誰かにあげるの?恋人かしら?家に置くの?」などと次から次へと質問を投げかけられるので、最初は何かの勧誘かなあ?などと思っていた自分もサングラスを上げて、今リモートワークで家にいるからこうして花を買っているんですよ、一人暮らしなんです、などと応じていた。オバちゃんは、詩を書いたり、絵を描いたりするらしい。

サングラスを外すと、オバちゃんは少女の目をしていた。あなた芍薬買うなんて良いわね〜、あたし牡丹より芍薬が好きよ、立てば芍薬なんて言うでしょう、家から仕事できるのは良いわね、などと訊いてもいないのに楽しそうに話しかけてくる。きっと花が好きなのだろう。素晴しいことよ、自分のために花を買って楽しく暮らそうだなんて、という言葉はどこかの映画の台詞ではなくてこのオバちゃんから放たれたものだ。行き交う人々の間で中洲のようにしばらく立ち話をした後、ニコニコしながらオバちゃんは東へと去っていった。

今名刺とかないわよね、と訊かれたけれどラーメン屋に名刺を持って行くほどマメじゃないんだよね。でも名刺持ってたらなにか良い事があったのかなあ?有名な人なのかなあ?なんて思ったけど、今となっては分からない。次からはラーメン屋さんにも名刺持っていこうかな。

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