夜風呂に入ると無性にスプライトが飲みたくなってくることがある。飲兵衛がビールを
軽く上気せたところで外に出ると外気は氷点下を割っていて、砂粒のような雪が街灯に照らされて白く輝いていた。人知れぬ遠くの暗闇から、針のように冷えた風が吹いてくる。
果たしていつもの場所に自販機があった。常に寄り添って立っている自販機とゴミ箱は、さながら動物の親子のようだ。じっとただ立っている。
もうしばらく雪は京都を閉ざすだろう。閉ざされるのも悪くない。ただ過ぎるのを待つという季節があっても良い。われわれはただ過ぎるのを待つということを忘れてしまっているのだから。